2005年11月15日/ シンポジウム「沖縄の詩の現在」

報告(2) 大城貞俊氏

報告(2) 大城貞俊氏 やっぱり長くなるので、少しずつ載せることにしました。まずは大城貞俊氏の報告についてです。

 大城氏による報告のテーマは、「沖縄・現代詩の挑戦と課題」。沖縄の現代詩の来し方と行く末について、「挑戦」という言葉を主軸に、様々な角度から分析がなされました。

 歴史の概観のところでは、復帰前における詩の表現の特質を「時代と密接に関わった表現」、復帰後のそれを「多様化される表現/異質な文化との衝突と違和感」と確認。そして、沖縄で詩という表現法が選ばれる必然性、方言詩のあり方、詩における倫理的表現の挑戦と限界、現代詩のテーマという4つの点が語られました。

 概観ということもあり盛りだくさんの内容で、刺激的な問いがたくさん出されましたが、中でも印象的だったのが、「なぜ詩表現を選ぶのか」という問いに対する大城氏の答えです。それは、「短詩型文学の伝統」「共通語習得の困難さ」に先立って挙げられた、「詩の言葉の直情的な性質」というものです。沖縄の置かれた極限状況と対峙するためには、どうしても先鋭で直情的な「詩の言葉」が出てくるのだ、ということだったように思います。詩というものの性質について、改めて考えさせられました。

 最後は朗読で締めくくり。資料に載っていない詩で、題名は忘れてしまいましたが、確か娘さんへの詩でした。情のこもった朗読に、小さい子のいる私は思わず目頭を熱くしてしまいました。

(写真: 首里城の城壁)


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Posted by あゆ at 07:00│Comments(0)
 
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