2010年09月09日/ 断想・随筆

ドイツを歩いた日―本屋

立ち読みを街歩きの中での主な趣味とする私としては、ドイツの本屋がどうなっているのか、どんな本が読まれているのかとても興味があった。もちろんドイツ語を立ち読みするには限界があるので、外面的なことに気を配るのが精一杯だったけれど。

ドイツの本屋で気に入ったのは、どんな本屋でも必ず椅子が置いてあることだ。素晴らしいアイデアだと思った。本屋ではカバンに手をつっこみにくい。エンデの書名をメモしたノートを取り出したいときも、近くの椅子かソファーに座れば堂々と探せた。何よりのんびりくつろげる。

ベルリンのゲーテでは小さなグループプレゼンテーションをしたが、私は「ベルリンの芸術(Kunst/クンスト)と文化(Kulture/クルトゥーア)」というテーマのグループを選び、ベルリンで今読まれている本を調べることにした。

暇をみつけては市内の本屋をまわった。ベストセラーをかたっぱしからメモするのは時間がかかりすぎると思ったので、店員に片言で「ベストセラーリストはありますか?」と聞いてみた。やはり聞いてみるもので、立派なポスターがあった。「店用なのであげることはできないけれど、コピーをとってあげる」と親切な店員の言葉に、聞いてよかったと思った。また別の店では、1~2か月前のリストなら、といって何枚か本物がもらえた。

こうしてなんとかよく読まれている書名や作家名が把握できたものの、時間の制限からそこまでが限界だった。もっと時間があったら、それらの本がどういう内容なのか、レナ―テさんなどに聞いて調べたかったなあと思った。でも少しとはいえ、自分で情報収集するのに成功したことで得られた充実感は大きなものだった。

ほかに本屋で印象的な思い出は、「星の王子さま、帰ってくる」という本をみつけたことだ。「こんなの日本で見たことない!よし、頑張って訳して家族のおみやげにしよう」と思い迷わず買った。そして日本に帰り、紀伊国屋でうろうろしていたときのこと。なんと「帰ってきた星の王子さま」という題名が目に飛び込んできたのだ。衝撃を受けて、一瞬倒れそうになった。おそるおそる手に取り、出版年月日を見た。ごく最近だが私がドイツに行く前に出版されている。しかもさらにショックだったのは、原書はドイツ語でなくフランス語で、私が買ったのはドイツ語の訳本だったことだ。考えてみれば、星の王子さまの原書がフランス語なのだから当然か。■ (つづく)

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ほんとに自分が上手く訳せると思っていたんですね。若いなあ。


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Posted by あゆ at 11:00│Comments(0)
 
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