2006年03月18日/ おぼえがき

聖域について(1)

 近年、沖縄では、聖地が荒らされる事件が頻発しています。記憶に新しいのは、昨年末に発覚した、久高島の御嶽の聖林伐採。そして、今回の斎場御嶽での盗難。報道されない御嶽荒らしも、よく起こっているのだそうです。

 幾人もの人が感じているように、これらのことは、とても根深い問題を明らかにしていると思います。というより、根深い問題が、形をとって現れているのだと。

聖域について(1) 何が根深い問題なんでしょうか。社会の歪み? 心の歪み? 根深いゆえに、色々な面から考えて、パズルのピースを補うような作業が必要だと思います。そのピースのひとつになることを願って、というような大層なことではないのですが、私も自分の考えをまとめてみようと思います。

 人々(people)の社会は、ひとりひとりの人間(persons)が作っています。だから、社会の歪みというものがあるとするなら、それは、ひとりひとりの人間の意識に端を発するのではないかという気がします。無意識の中の認識、と言った方が正確かもしれません(心、とは言いたくありません)。

 どんな認識なのでしょうか。ひとつには、大雑把に言ってしまえば、「人間の手の届く限り、人間はあらゆる物事を操作すべき/できる」ということがあるのではないでしょうか。

 もちろん、信念としてあからさまにそう考えているような人は、もうあまりいないかもしれません。でも、そのような考えに、それと気づかず支配されている人は案外多いのでは、と私は思います。

 少なくとも私自身は、頭では間違っていると知りながら、そのような考えの呪縛から逃れ切れてはいないと感じています。御嶽を荒らした人と自分とを、別の世界に置くことはできません。私には、「犯人は誰だ」と叫ぶことはできません。

 無意識下に沈んでいるものは、その存在を知らせるサインを、必ず、何らかの形で表に滲ませているものではないかと思います。例えば、顔に、姿勢に、そして言葉に。  (つづく)

世界遺産『斎場御嶽』が荒らされた! (シマウタ37.6度)
斎場(セイファー)御嶽事件 (上等沖縄司会屋)
斎場御嶽を荒らすのは誰だ!かけがえのない場所 (沖縄・八重山探偵団)
斎場御嶽の悲劇 (琉球屋文明堂)
セーファー御嶽事件と島や宝シンポジウムゆんたく会議 (琉球弧風来坊)
3月10日の斎場御嶽。 (夢の沖縄時間。)
神聖な場所を (Sinh's sight.)
ウタキという名の聖地 (沖縄ファンクラブ)
斎場御嶽の事件ニ思フ ( 沖縄ヲ思フ)


(写真: 自宅近くの多摩川上空)


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Posted by あゆ at 07:00│Comments(4)
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この記事へのコメント
ぼく自身の記事にかんして言えば、中村武羅夫のプロレタリア評論「誰だ?花園を荒らすものは!」を意識したタイトルで書きはじめ、そのままでは過度に扇情的であるのみならず下手なパロディになってしまうと思って順序を入れ替え、考え考えしながら継ぎ足したものなので、全く以てまとまりのつかぬ文章となり果てていますが、爾後ずっと落ち着かぬ気分でいる最大の理由は、あゆさんが言われるような「内なる御嶽荒らし」との折り合いのつかなさであろうかと感じています。

さらに自らの問題として考えつつ、以後の展開を待たせていただきます。
Posted by びん at 2006年03月18日 15:16
びんさん、タイトルの説明までしていただいて恐縮です。正直なところ、引っかかりはしていましたが、「びんさんのタイトルに」当てつけたつもりはありませんでした。でも、そのように感じられても仕方のない表現だったことは、お詫びいたします。びんさんの記事を読んでいれば、びんさんがこの問題からご自身を排除していないことはわかります。

今回はちょっと時間がかかるかもしれませんが、気長にお待ちくだされば幸いです。
Posted by あゆ at 2006年03月19日 12:44
かえってお気を使わせてしまいました。
もちろん当てつけなどとは思っていませんでしたが、
落ち着かなさのままに、意識して荒く書いたかもしれません。
こちらこそお詫びします。
こんなに時間をおいてTBの入ってくる記事もめずらしく
それだけみなさん気持ちと言葉を整理しているのだなと感じられます。

ぼくが申し上げるべきことではありませんが、どうぞじっくり考えてください。
Posted by びん at 2006年03月21日 01:09
そうですね、私もTBされる記事を読んでは、本当に観点は人それぞれだなと思いました。じっくり考えたいと思います。お気遣いありがとうございました。
Posted by あゆ at 2006年03月21日 09:09
 
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