マブニのアンマー

あゆ

2005年07月02日 14:41

マブニのアンマー ―おきなわの母―
赤座憲久/文、北島新平/絵
ほるぷ出版、1985年1月
ISBN: 4593560101

 携帯からこんにちは。息子を遊ばせに、近所の児童館に来ています。本棚を眺めていると、懐かしい絵本を見つけました。『マブニのアンマー ―おきなわの母―』です。

 終戦の年、マツさんは息子の自決を知らされます。糸満の摩文仁(まぶに)のガマ(壕)でのことでした。それを知った翌日、マツさんは那覇から4時間かけて、徒歩で摩文仁まで息子の骨を探しに行きます。しかしやはりすぐには見つからず、摩文仁の近くに家を借りて、ガマに通う決心をします。

 子守歌「いったーあんまーまーかいが(あんたたちのお母さんどこ行ったの)」を歌いながら、ガマの骨をひとつひとつ寄せ集めるマツさん。気が触れたのだとささやかれるなか、幾月も幾年も探すうち、いつしか骨たちはマツさんに語りかけてくるようになります。そして、ガマに通い詰めて11年目に……。

 昔に一度読んだはずですが、自分が母親になってから読んでみると、ますます涙なしでは読めません。実話をもとにした話で、教訓的なところの少しもない簡潔な文体が、墨絵の情感(不気味さをも含む)とあいまって、胸を震わせます。子どもたちだけでなく大人にも、むしろ大人にこそ薦めたい絵本です。残念ながら品切れで入手困難となっているようなので、図書館などで見つけたらぜひ手に取ってみてください。

■7月4日追記: 出版社に問い合わせたところ、要望多数につき今月下旬に復刊の予定とのことです! すごいタイミング!

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